新執行部発足にあたり一言ご挨拶申し上げます。須田会長がこの2年間に柏市の将来を洞察した選択と方向性を確立してまいりました。この道筋をあやまらないように引きついでいくのが、今回私に課せられた役割の一つであると考えています。
この度、柏地区医師会が県医師会から高木賞、学術奨励賞、健康教育賞の三賞を受賞しましたことは、長い間地域医療に貢献してきた努力が認められたこととともに、さらにこの受賞を機会になお一層研鑚をつんでほしいという励ましの言葉でもあると思われます。
従いまして、この記念すべき三賞受賞記念祝賀会が新執行部への励ましの会として、また新執行部の幕開けを飾るにふさわしい会であったといわれるように心がけていきたいと思います。
4月からは、県医師会の役員も改選され、柏地区医師会も青木県医師会副会長、堀内県医師会理事の誕生で県へ2人の役員を送るほどの地位を築いてまいりました。
私どもが、何にもわずらわせられることなく、のんびりと柏で診察を続けているときにも、ご自身の診療を休んで毎週千葉まで出かけてくださるのですから本当に有り難いことです。青木先生、堀内先生の今後のご活躍を心からご祈念申しあげます。
会長就任に当たり、柏市における医師会の役割とは何かを考えてみます。
私は柏の医療圏における連携と役割分担、病診連携の必要性ではないかと思います。
このことを役員まかせでなく会員みんなで市民に向けて機会をとらえて説明していくこと、そして行政、市民が選んだ結論については、それらの事柄について十分に咀嚼されて検討された結果であれば、たとえ思ったような効果もなくて、くたびれもうけとしか思えないような、がっかりする結果となったとしても、その後のことについては感受せねばならないでしょう。
私ども医療人は開業医、かかりつけ医、勤務医として自らの医療体制の枠組の中で市民の健康管理に寄与し、奉仕事業にも相当な協力を行っています。
しかし、さらに医療弱者的立場と不採算部門については必然的に公共的施設が要求されます。
このことは総論では理解できても、財政基盤の悪化などを理由に市民の医療への満足感を満たすことにはならず理論だけが、空回りする結果になり勝ちなのが現状であることは否めません。
医療の枠組を如何に均衡を保つかは、為政者の将来展望を含めた医療、福祉行政を見通せる透視眼にかかっています。
例えば、大学が三次救急医療体制を維持するについても、病床の確保のため二次病院との連携、救急用ベッドの確保にもっと話し合いの機会が必要なのではないでしょうか。
まず、医療面における弱者の立場にある小児、老人、救急に眼をむけて、将来構想を進めことが大切であると思われます。
とかくマスコミなどから、医師会の主導や医師会のエゴで医療行政が行われているかのような見かたをされがちなことは、まことに残念なことです。
私どもがどんなに市民への医療サ-ビスに適切なアドバイスを送っているか世論に訴えるためにも、会員皆さんにもご協力いただくことは勿論のことです。
また、会員も直接我が身に火の粉がふりかかってくるときには、ムキになっても、一度対岸の火事となると我関せずとなって気にもかけなくなるなど、多少とも反省して肝に銘じてまいりましょう。
医師会の運営のむずかしさは、こんなところにあると言っても過言ではありません。
市立病院の眼科増設一つをとってみましても、複数の選択肢から一つを選ぶときに、常に会員同士で利害が一致するとは限りません。
こういう時こそ、チ-ムプレイを心がけられるゆとりを失わないことが肝要でありましょう。
また、今年は更に一層の飛躍を願って医療の他に、ごみゼロ運動や手賀沼浄化のボランティア活動にも参加し、広く社会に目をむけて、素晴らしい友好の輪を広げていきましょう。
医師会会長 挨拶 1996年5月